悪いのは天候ではなく、誤った服装:フィンランドの冬の着こなし
冬のフィンランドでは何を着ればいいのでしょう? これは特に、雪解けのヘルシンキから零下30°Cのラップランドまで旅する人々からよく聞かれる一般的な質問です。フィンランドの人々がよく口にするのは、悪いのは天候ではなく、誤った服装だということ。あらゆる天候下で暖かくスタイリッシュに過ごすにはどうすべきか、フィンランドの天候に合った着こなしに詳しいフィンエアーの客室乗務員用制服責任者、メイヤ・リンドバーグに話を聞きました。
天候差の激しい土地に合った着こなし
制服ベンダーマネージャーのメイヤ・リンドバーグによれば、「フィンエアーの制服は重ね着を意識したデザイン」だそうです。「乗務員には、ブレザーやジャケット、カーディガン、ウールのアウターコート、厚手のバッファージャケットなどが用意されています。この重ね着という方法により、気温に応じて服装を調整できます。この方法は、異なる天候の中を移動する際に必要不可欠です」
これは、12月、1月または2月にフィンランドを訪れる旅人たちが、何を着るべきかを決める際にも当てはまる原則です。経験則に従えば、重ね着を意識することです。
- ベースレイヤー(下着):柔らかいウールや、肌から湿気を逃がすハイテク素材。
- ミッドレイヤー(中着):暖かなジャンパーか保温性の高いフリース。
- アウターレイヤー(外着):防風、防水性が高く、雪や雨の侵入を防ぐ外套。
頭や手足からも急激に体温が奪われるため、帽子や手袋、スカーフもお忘れなく。
穏やかなヘルシンキから厳寒のラップランドまで
天候は訪れる場所により大きく異なります。首都のヘルシンキはフィンランド南部に位置し、冬は穏やかで湿度が高いこともあるため、暖かく防水機能のある服装が役立ちます。逆にラップランドでは空気は乾燥し、気温が氷点下まで下がることが多いため、保温性の高い服装が重要になります。
フィンランドのデザイナー、Ritva-Liisa Pohjalainen(レイトバ・リーサ・ポーヤライネン)がデザインしたフィンエアーの制服コレクションは、こうした汎用性を考慮して生まれました。メイヤは次のように語っています。「選ばれた主要繊維は混合ウールで、これはさまざまな気候を通じ、耐久性と快適さを兼ね備えています。シルエットはシンプルですが自信に満ちあふれ、ダークブルーとホワイトはフィンエアーブランドを反映しています。通気性のある素材は実用性に富み、乗務員の日々の仕事をサポートしてくれます」
2024年11月には、フィンエアーの制服に暖かいMakia製ウインターコートが加わり、客室乗務員は快適な暖かさを享受できるようになりました。このコートは、フィンエアー100周年を記念して昨年生まれたMakia製フィンエアージャケットをベースにしています。丈が長く暖かい印象を持つデザインは、厳寒の冬でも客室乗務員を暖かく保ってくれます。
着こなしは暖かく、乾燥状態を保つこと
初めて訪れる旅人たちの多くが犯す過ち、それは、湿度を過小評価するということ。「来訪するお客様がしばしば見過ごすのは、乾燥した状態を保つことの大切さ」だとメイヤは指摘します。「衣類が乾いていれば、暖かさだけではなく保温性も機能します。この点から言えば、ウールとフリースは、素晴らしい素材です。また、ここを訪れるお客様は帽子を忘れがちですが、暖かな帽子をかぶることも必要です」
メリノウールなど一部の素材は、濡れた状態でも身体を暖かく保ちます。ラップランドでスノースーツの下に何を着ればいいか迷っている方には、下着素材として優れているメリノウールがお勧めです。
正しいフットウエアで違いを実感
冬のフィンランドで履くシューズとして大切なのは機能性です。メイヤは次のように語っています。「最高のフットウエアは、防水性と断熱性に優れたブーツで、路面が凍った状態でもあまり滑りません。ブーツかどうかを問わず、忘れずに暖かな靴下、できればウール製を履きましょう。ハイヒールでは凍てつく天候に対応できません」
路面が凍り付いた状態では、靴の下に小さなスパイクやスタッドが入った滑り止めを購入するのも一案です。普段使いの靴に装着可能で足元を補強してくれます。手軽に取り外せるため、建物内に入っても、木製の床などの表面を傷つけることもありません。
フィンランドの冬に備えた荷造り
都会で楽しむ休日でも、ラップランドで過ごす魅力的な休暇でも、冬のフィンランドに向けて荷造りリストを準備している方は、快適さ、重ね着、そして実用性を考慮してはいかがでしょう。保温性の高い下着、暖かなジャンパー、防水機能のあるアウターや帽子、手袋、スカーフ、そして丈夫な冬用ブーツがあれば万全です。ラップランドを訪れる際は、防水性に優れたスノーパンツやスノースーツ、暖かなミトン、厚手のウール製靴下を荷物の中に入れましょう。
もしフィンランド式サウナに行く予定があれば、多少なりとも覚えておいてほしいこと。それは、フィンランドの人々は通常裸か、タオル1枚を持っていくだけということです。あなたが冒険好きで、フィンランド人がこよなく愛するアイススイミング、avantouintiに挑戦するなら、つば無しのニット帽を身に付けましょう。この帽子は、頭からの熱放射を抑える上で役立ちます。スイミングを楽しんだ後は、快適なバスローブやタオルで全身を包み込むことが特にお勧めです。
フィンランド方式
フィンエアーの制服に対するアプローチは、実用的かつスタイリッシュ、美しく控えめというフィンランドのデザイン哲学を反映しています。「私たちの制服は、時代を超えたエレガンスと実用性を兼ね備えている」と、メイヤは述べています。「色使いはフィンエアーブランドを反映し、素材からは快適さと機能性が得られます」
これらは、旅人の誰もが大切にしている考え方です。正しい重ね着と良いシューズ、さらにsisuと呼ばれるフィンランドの思考法があれば、悪天候などというものはあり得ません。さあ荷物を詰め終わったら、フィンランドでお会いしましょう!