フィンランドの夏を彩る人気のスポーツ「モルック」
モルックは、多くのフィンランド人が愛する夏の風物詩です。そのルーツは1900年代初頭のカレリアにまで遡ります。ルールは口コミで受け継がれていましたが、1990年代に商品化され、広く普及するようになりました。今では、友人や家族が集まって近所の公園で楽しんだり、サマーコテージでのんびりプレーしたりと、フィンランド人の定番の遊びになっています。
しかし、フィンエアーのゲートスタッフ、ユハ・カルヤライネンにとって、モルックは夏の夕暮れを気軽に過ごすだけの遊びではありません。友人や同僚とのつながりを育み、楽しく有意義な思い出の場面を数多く生み出してくれる、大切な趣味なのです。愛犬のシドニーも熱心なモルックファンです。ただし、レトリーバーの彼にとっては、投げられたモルックを追いかけることだけが楽しみなので、時にはその存在がプレーの邪魔になってしまうこともあります。
モルックとは?
モルックはフィンランドのアウトドアスポーツで、ユハは「ダーツとビリヤード、そして少しだけチェスを合わせたようなゲーム」と遊び心たっぷりに表現します。正確なコントロール、角度を読む感覚、適切な力加減に加え、先を見据えた戦略的な動きが勝負を左右します。
Photo: Juha Karjalainen
モルックの遊び方
- プレーヤーは「モルック」と呼ばれる木の棒を順番に投げて、1カ所にまとめて並べられた番号付きの「スキットル」を倒していきます。
- スキットルを倒して、得点を重ねていくことがゲームの目的です。スキットルを1本だけ倒した場合、そのスキットルに表示されている数字がそのプレーヤーの得点になります。複数のスキットルを倒した場合、倒した本数が得点になります。
- 各ターン後、倒れたスキットルはその場所で立て直し、次のターンを行います。
- 目標は、ぴったり50点を獲得することです。1点でも超えてはいけません。50点を超えると、得点は25点に戻されます。
一見すると、正確に投げることを求めるシンプルなゲームに思えますが、ユハは「狙いと運だけのゲームではありませんよ」と指摘します。「次にどの数字を狙うか、次のターンはどう攻めるか、そして上限の50点を超えないようにするにはどうすればいいかを、常に先を考えながらプレイをする、実に戦術的なゲームなんです」
「初心者が犯しがちな最も一般的なミスは、力を入れすぎること、50点ルールを忘れること、そして戦略を立てずにプレイしてしまうことです。一度にできるだけ多くのスキットルを倒そうとするのは、必ずしも得策とは限りません。狙った1本を確実に倒す方が有利な場面も少なくありません」とユハは語ります。
2026年夏には、ヘルシンキでモルック世界選手権大会が開催されます。
近年では、フィンランド以外の国々でもモルック人気が高まっています。この夏、ヘルシンキでモルック世界選手権が開催され、20を超える国から選手やファンが集まります。大会開催期間は2026年8月14日から16日までです。ユハも、自ら結成した「フィンエアー・モルック・クルー」のメンバーとともにこの大会に参加します。
「フィンエアーチームのみんなと、大会の雰囲気を一緒に味わえることを楽しみにしています。世界選手権大会がフィンランドで開催されるのは、大きな意味があります。この大会が、モルックを多くの人に知ってもらい、関心を持ってもらえる機会となることは間違いありません。トップレベルのプレーはもちろんのこと、モルックというゲームの和やかで楽しい雰囲気を感じることも楽しみにしています」とユハは語ります。
ユハにとって、この大会の大きな魅力は、友人や同僚と一緒に楽しめる機会になることです。「世界大会は、勝敗を争う場だけでなく、さまざまな背景を持つ人々が共通の関心を通じて出会い、交流する場でもあるのです」と彼は話します。
モルックは、フィンランド国外、とりわけ日本で高い関心を集めており、多くの愛好家が生まれています。2024年には、日本はヨーロッパ以外の国としては初めて、モルック選手権の開催国となりました。
ユハは、モルックへの関心が世界レベルで広がっていることを喜んでいます。「フィンランド以外の国でも、この素晴らしいスポーツが親しまれていることを大変嬉しく思っています。モルックが皆さんに、多くの楽しいひとときをもたらしてくれることを願っています。ひとつのスポーツが世界中の人々をつないでいることに、大きな喜びを感じています。次回のフィンランド大会では、日本から多くのモルック選手の皆さんをお迎えします。皆さんとフィンランド、そしてヘルシンキでお会いできることを楽しみにしています。ご健闘をお祈りしています!」
初心者も楽しめるスポーツ
モルックは、誰でも気軽に始められるスポーツです。モルックの用具は、フィンランドでは多くのスーパーマーケットやスポーツ用品店で購入できます。手頃な価格で、持ち運びやすいのも魅力です。モルックのセットを貸し出している図書館もあります。また、公園やビーチ、ホテルの駐車場などでも遊べるので、旅行中のアクティビティとしても最適です。
Photo: Juha Karjalainen
モルックは初心者でも楽しめるスポーツです。「気軽に参加してみてください。ルールを知らなくても大丈夫。まずはやってみる、そして、仲間と一緒に楽しむことが何よりも大切です。リラックスした気持ちで参加すれば、楽しみながら遊び方を自然に覚えられますよ」とユハは語ります。
「モルックは、誰でもすぐに始められるスポーツです。人と人をつなぎ、自然の中で過ごす時間も楽しめます。だからこそ、フィンランドの夏に欠かせない遊びとして愛され続けているのです」 モルックは、フィンランドの夏の夕暮れがぴったりのスポーツです。日が長く、明るい夏の夜は、遅い時間まで楽しめます。フィンランド旅行中にモルックのセットを見かけたら、ぜひユハのアドバイスを実践して、プレーにチャレンジしてみてください。モルックを手に取り、ゲームの輪に加わって、スキットルの行方を見守りましょう。