搭乗者の義務 | フィンエアー

搭乗者の義務

以下に公表された欧州の航空会社からの自主的コミットメントは、欧州民間航空協議会(ECAC)および欧州委員会が着手した航空機の旅客の権利に関する協調的行動の結果です。欧州の航空会社と空港組織に加え、消費者団体、移動制約者の擁護団体、および旅行業界が2000年秋から着手された業務に従事しています。これは、旅客により品質の高いサービスを提供することを目標としています。入念に策定された航空会社と空港のコミットメントは、旅客保護の分野で公布された法律および航空会社に適用される一般運送約款を補足するものです。関連航空会社と空港にとって、そのコミットメントは統一した最低限の要件となっています。

航空旅客サービスコミットメント

欧州の航空会社は航空旅客の代表者、EU加盟国の政府および欧州委員会と協議のうえ、航空旅客サービスコミットメントを開発しました。

航空会社間の熾烈な競争により、欧州の航空旅客にとって、航空会社、空港、価格およびサービスの選択肢が広がっています。航空旅客サービスコミットメントには、航空旅客に一定基準のサービスを提供する法的拘束力のないコミットメントが含まれています。その規定は旅行前、旅行中および旅行後の14種類のサービスを取り上げています。これは旅客が加盟航空会社から常に期待できるサービス水準について記述しています。これにより、航空旅客は旅行の手配を計画する際に、十分な情報に基づいて航空会社を選択できるようになります。

本航空旅客サービスコミットメントの加入航空会社は引き続き積極的に他社と競争し、顧客のニーズを満たすために様々な商品や様々なレベルの顧客サービスを提供します。これらの航空会社は一貫した基準で本航空旅客サービスコミットメントに規定された基準を達成するために努力します。

加盟航空会社はそれぞれ、航空旅客サービスコミットメントを盛り込んだ自社のサービス計画を開発します。加盟航空会社は航空旅客サービスコミットメントを実施するために社員研修プログラムを作成し、コンピュータシステムの変更を行います。この実施期間中には、全航空会社が航空旅客サービスコミットメントの一部の要素を提供できない場合があります。

加盟航空会社は以下について同意します。

1. 各直販店経由で利用可能な最低運賃を提供する。

a) 各航空会社は各自の電話予約システム、ウェブサイト、およびチケットオフィスを通じて、旅客が希望する日、フライトおよび座席クラスに対して利用できる適切な最低運賃を提供します。

b) 各航空会社は旅客に対し、これらの様々な販売経路を通じて様々な運賃が利用できることをお知らせします。

c) 各航空会社は旅客に対し、選んだ運賃に適用される条件、および適用される税金、料金および手数料についてお知らせします。

2. 支払後に合意された運賃を受ける。

航空券に対する支払い後は、予約した日、フライトおよび座席クラスに対して追加運賃が発生することはありません。ただし、税金、料金および手数料の変更により追加支払いまたは払い戻しが発生する場合があります。

3. 延着、キャンセルおよび目的地外着陸が判明した時点で旅客に通知する。

各航空会社は空港および当該航空機に搭乗している旅客に対し、可及的速やかに、判明した延着、キャンセルおよび目的地外着陸に関して入手可能な詳細情報をお知らせします。

4. 延着便の旅客を援助する。

a) 各航空会社は2時間*)を超える延着便の旅客に対し、現地の状況が許す限り、軽食、食事、宿泊設備等の適切な援助を提供します。この援助は、政情不安、基本サービスの長期間のストライキ、または航空会社の支配が及ばないその他の例外的な状況の場合には提供されない場合があります。また、援助の提供により出発がさらに遅れる可能性がある場合、これらの援助は提供されない場合があります。

*) パッケージツアーに参加している旅客のフライトが延着した場合、これらの旅客に対する援助はツアー主催者の公表方針に従って行われます。

b) 第4a項に記載された援助は、公共サービスの義務を定める規制当局の方針に従って、公共サービスの義務に基づき運航されている路線、定期的な運航が天候の大きな影響を受ける路線が天候により混乱をきたした場合、または座席数が80席未満の航空機により運航され、空港間の運航距離が300km未満の路線では、提供されない場合があります。

c) 各航空会社は自社の明確かつ簡潔な方針書を作成し、旅客に提供します。これには例外が適用される路線リストが含まれます。

5. 手荷物を可及的速やかに引き渡す。

各航空会社はすべての受託手荷物を可及的速やかに到着ロビーで引き渡すためにあらゆる合理的な努力を払います。受託手荷物が誤配された場合、各航空会社は誤配された手荷物を最終目的地に到着してから24時間以内に無料で旅客に引き渡すためにあらゆる合理的な努力を払います。旅客の合理的な短期間のニーズを満たすために十分な当面の援助も航空会社から提供されます。

6. 24時間以内は責任や違約金なしに電話予約を保留またはキャンセルすることを認める。

適用される発券期限に従って、各航空会社は旅客が次のいずれかを行うことを認めます。

I) 航空会社に対して直接行った電話予約を最低24時間は支払いを行わずに保留する。または

II) 航空会社が予約時に即時の支払いを要求した場合、24時間以内に違約金を支払わずに予約をキャンセルする。
旅客には予約時にどちらの予約方法が適用されるかをお知らせします。**)

**) 一部のレジャー航空会社は出発の3日前までこの便宜を与えることを決定する場合があります。このオファーは座席数が80席未満の航空機が運航する路線には適用されない場合があります。これらの適用除外については航空会社から通知されます。

7. 速やかに払い戻しを行う。

a) 旅客が航空会社から直接購入した航空券の払い戻しを請求し、かかる払い戻しを受ける権利がある場合、各航空会社はクレジットカードによる購入の場合は7営業日以内、現金または小切手による購入の場合は20営業日以内に払い戻しをいたします。

b) 運賃と一緒に支払われた航空券に記載の税金、料金および手数料は、航空券が使用されなかった場合は払い戻されます。これには払い戻し不可の航空券も含まれ、払い戻しは上述と同じ期限内に行われます。

8. 移動が制限されている旅客および特別なニーズを持つ旅客に援助を提供する。

各航空会社は適用される安全規則に準拠した適切な方法で特別なニーズを持つ旅客に対処し、移動が制限されている旅客を援助するための提供サービスを公表します。航空会社は移動が制限されている旅客に対し、「移動制約者のニーズへの対応」と題する添付文書を支持する立場を明らかにします。

9. 航空機が長時間遅延している間に旅客の非常に重要なニーズを満たす。

航空会社はターミナルにアクセスせずに長時間着地している航空機に搭乗している旅客に対し、旅客と職員の安全・保安上の問題に配慮して、食事、水、トイレ、および医療へのアクセスを提供するためにあらゆる合理的な努力を払います。
航空会社は旅客を長時間遅延している機内にとどめないようあらゆる合理的な努力を払います。

10. チェックインを迅速化するための対策を講じる。

航空会社は合理的なチェックインの締め切り時間を設定し、空港側と連携して出発エリアの混雑を回避するための適切な手段を講じ、旅客がチェックインの締め切り時間に間に合うようにチェックインを迅速化する対策を講じます。 これらの対策として、Eチケットの発券と自動チェックインシステム、自動チェックイン、モバイルチェックインサービス、空港外チェックイン、優先チェックイン、行列緩和などが挙げられます。

11. 航空会社の都合により搭乗を拒否される旅客数を減らす。

フライトの出発時間の時点で旅客数が空席数を上回る場合、各航空会社は当該空港のセキュリティおよび/または業務上の制約に従って、最初に自発的に当該フライトから降りることを受け入れてくれる旅客を募ります。

12. 旅客に取引/運航条件に関する情報を提供する。

航空会社は旅行に関する以下の情報を旅客に提供します。

A) 予約時(入手可能な場合):

I) フライトの予定出発/到着時間

II) 出発/到着空港またはターミナル

III) 途中降機地数

IV) 航空機、ターミナルまたは空港の変更

V) 支払い運賃に付属する条件

VI) 運航航空会社名と便名

VII) 非喫煙フライトであるか否か

別の航空会社が代わって運航することになり、その旨が事前に通知されず、旅客がそれを受け入れられない場合、その旅客は払い戻しを受けるか、同じ座席クラスに空席がある当該航空会社の次のフライトに搭乗する権利が与えられます。

B) 確認または航空券の入手時:

I) 出発時刻の確認

II) 無料手荷物許容量および責任限度額

III) 機内持込手荷物許容量

航空券の購入後に航空会社が予定出発時刻の大幅な変更を行い、旅客がそれを受け入れられず、航空会社が旅客のために受諾可能な代替フライトを予約することができない場合、当該旅客は払い戻しを受ける権利があります。

C) 要求に応じて:(当該航空会社のサービスおよび利用可能な場合は他の航空会社が運営するサービス)

I) 運航路線で使用予定の航空機の種類および座席幅

II) 機内で通常提供されるサービス

III) 特別なニーズがある旅客に対する便宜およびそれらのサービスの利用料金(第8条に規定されている移動が制限されている旅客に対するサービスを除く)

IV) 特定の座席の割当または事前予約が可能か否か

V) 超過手荷物料金

VI) 運送約款

VII) マイレージプログラム(提供されている場合)の詳細

VIII) 紛失、損傷または延着手荷物に対する支援プログラム

IX) 航空旅客サービスコミットメントの詳細および航空会社独自のサービス計画

13. 運航航空会社に関する情報を提供する。

コードシェア契約、フランチャイズ契約または長期リース契約に基づきフライトが運航されている場合、航空会社は以下を行います。

I) 実際にフライトを運航する航空会社名を旅客に知らせる。旅客は以下の時点で情報を受けます。

-航空会社が直接管理している販売経路、すなわち航空会社のオフィス、航空会社の電話予約センター、および航空会社のウェブサイトを通じて予約が行われた時点。および

-空港でのチェックイン時。

II)航空会社が直接管理していない販売経路、すなわち旅行代理店および航空会社のウェブサイト以外のウェブサイトを通じて予約が行われた場合、航空会社は旅行代理店およびウェブサイト運営者に対し、予約時点で旅客に体系的に情報を提供するよう促します。

III) 適切な言葉遣いを用いて、旅客の契約の相手先は販売航空会社、すなわち搭乗クーポンまたは旅程の便名の隣に航空会社コードが表示されている航空会社である旨を明確にします。

IV) コードシェア便を利用する旅客に対し、サービス水準が異なり、航空旅客サービスコミットメントが提供されない場合がある旨を知らせる。

14. 旅客の苦情に対応する。

通常の状況下では、各航空会社は書面による苦情の受領日から28日以内に正式な回答をお送りします。この期間内で苦情を適切かつ十分に調査することができない場合は、遅延理由を添えた中間回答をお送りします。各航空会社は旅客のすべての苦情に関する適切な連絡窓口を指定し、この顧客サービス機能の住所および/または電話番号、ならびに部門名を時刻表、ウェブサイトおよびその他の一般情報源に記載します。またこれらの情報は航空会社が認可したすべての旅行代理店でも入手できます。

移動制約者(PRM)のニーズへの対応

はじめに

本文書は、移動制約者のニーズへの理解と対応、および移動制約者の安全と尊厳の尊重を確保することにより、移動制約者の航空旅行へのアクセスを向上させることを目的としています。本文書はサービスを提供する航空会社および空港と機内の設備を対象としており、自主的な業務規則を作成する際の基盤となります。規則作成の際には、欧州民間航空協議会(ECAC)のドキュメント30(第5条)および国際民間航空機関(ICAO Annex 9)の該当規定が考慮に入れられます。これらの文書は技術情報を提供するもので、航空業界と協議のうえ、基準と推奨指針の策定を担当する政府機関によって作成されています。

定義

移動制約者(PRM)とは、輸送機関を利用する際に、身体障害(感覚障害または運動器官障害)、知能障害、年齢、その他の障害事由により移動が制限され、その状況からすべての乗客が利用できるサービスに対する当該人物のニーズへの特別な配慮と対応を必要とする人物を意味すると解釈されています。

基本前提

  • PRMは他の市民と同様に、移動の自由と選択の自由に対する権利を有しています。これは航空旅行ならびに生活のその他のあらゆる分野に当てはまります。
  • 航空会社、空港および関連サービスプロバイダはPRMのニーズを満たす責任を有しています。またPRMは、適切な時期における適切な経路へのニーズを確認する責任があります。
  • PRMは旅行の計画と実施ができるように、情報を入手できなくてはなりません。
  • 障害は病気と同一視するべきではないため、PRMは旅行条件としてその障害に関する医療の申告を要求されるべきではありません。
  • PRMを代表する組織はPRM問題に関する助言を求められる場合があります。
  • 職員はPRMのニーズを理解し、満たすために適切な訓練を与えられます。
  • 規制とセキュリティチェックはPRMの尊厳を尊重した方法で行うべきです。
  • PRMはできる限り独立性を確保できる必要があります。
  • PRMのニーズに対応するためのコストはPRMに直接転嫁するべきではありません。

航空会社の実践

  • いかなる航空会社も、安全に運送できない場合、または物理的に対応できない場合を除き、PRMの運送を拒否しません。 PRMの運送を拒否する場合、航空会社は拒否の理由を明確かつ明快に説明します。
  • PRMが他人の世話を必要としない(フライト中は自分のことは自分ででき、身体的ニーズに独力で対応できる)と申告した場合、航空会社はその申告を受け入れます。 航空会社はこのような申告が行われた場合、健康、安全または衛生上の要件に反していたとしても、機内での援助を提供する義務を負いません。
  • 航空会社は特に大規模な改修に着手する際には、あらゆる規模の航空機内のアクセスと設備を向上させるための技術・運営上の選択肢を検討します。
  • PRMが特定の路線で運送を拒否された場合(たとえば小型機のため)、航空会社は許容できる代替案を提案するよう合理的な努力を払います。
  • 空港と航空機の規模にかかわらず、搭乗および降機の手配の際にはPRMの尊厳を尊重しなくてはなりません。
  • スペースが許す限り、航空会社は健康、安全および衛生の範囲内でPRMの自立を援助するための機内機器/設備を提供します。
  • PRMは安全要件に従って、座席割当を選択する同等の権利を有します。安全上の理由から要求に応じられない場合、航空会社は特定の座席を割り当てられない理由を明確かつ明快に説明します。
  • 輸入と航空会社に関する国内規定に従って、認定を受けた介護犬を機内に乗せて運送します。介護犬は無料で運送します。
  • PRMに対して、標準的な車椅子およびその他の不可欠な障害補助器具の運送料金は請求しません。
  • 航空会社は車椅子その他の障害補助器具の損失または損害を回避するためにあらゆる合理的な手段を講じなくてはなりません。損失または損害が発生した場合、航空会社は個人の当面の移動ニーズを満たすために適切な手配を行います。
  • ※本ページに記載されている内容は英語の原文を参考のために日本語訳したものです。あらかじめご了承下さい。
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